色とりどりな君の花

その後は映画館に行った。ザ、定番だけど楽しそう。

「私、映画館も幼稚園児くらい以来なんだ!だから嬉しいっありがとう!」

…と言ったことに後悔した。映画が、なんと恋愛ものだった。それだけならまだ良いのだけれど……

こんなにイチャイチャシーンがあるやつなんて聞いてないんですけど。

目の前の列に座ってるカップルなんて、そのシーンに合わせてイチャイチャしちゃってる。他の人の視線とか気にしてなさそう。

それにしても勇気あるなぁ。…私たちも。

ついつい圭佑の方を見てしまった。……後悔。

「んっ!」

振り向いた瞬間、私の唇に彼の唇が重なった。

「ちょっとまってよ…これじゃぁ、そこのカップルたちと一緒……」

「別にそれでも良いだろ。てか、これ見ててイチャイチャしない方がどうかしてる」

そんなこと言われても、このテーマ選んだの圭佑でしょ?!あ、わざとってこと?

…男の思考回路は意味不明だ。

「ねぇ、咲希?」

急に甘えた声で私の名前を呼ぶから、振り向いちゃったじゃん!冷静になれ私!

「んっ、はぁ。ま、またキス…ん」

次から次にキスが降ってくる。角度を変えて何度も何度も。

やばい、苦しくなって来たし力が入んなくなって来た。ゆっくりと圭佑の方に体が傾く。

「…お前、本当に可愛すぎる。キスだけでこんなに弱るとか、俺、堪んないんだけど」
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