初恋の糸は誰に繋がっていますか?

「病院で君のお母さんは娘を守ってくれた事にとても感謝していたし、怪我をさせたことも娘にも原因があると医療費などを支払いたいと言ってくれた。
だがろくでもない父親がいるのに俺が他人をかばって怪我をしたなんて言ったら、俺の父親は君の家に金を取れるだけ取ろうとするだろう。
母は事情を説明して、この後一切関わりを持たないと言った。
もしかすると父親が君を待ち伏せして家を調べるかも知れない。
だから、俺は今後一切君に会わない、君の母親にも絶対に君を公園で待たせないこと、俺を探させないようにと言ったんだ。
君のご両親はそれでもうちの母親に俺が入院しているときに面会に来てお金を持ってきたらしけれど母は拒否した。
再度俺の母は君の身の危険を伝えてご両親を説得したんだ。
君の両親は何一つ悪くないんだよ」

何一つ私は知らなかった、両親がしていたことも達貴さんのお母さんの思いも。
優しい両親が何故という疑問はずっとあった。
それが本当なら一番辛かったのは達貴さんやお母さんでは無いだろうか。

「達貴さんは怪我でお父さんに何か言われたりしなかったんですか?
それに達貴さんのお母さんだって本当は私のことで腹を立てていたんじゃ」

彼は軽い声を出して笑った。

「一つ、君が覚えていない昔話をしよう」

優しい目が私を見つめる。

「理世は俺が君を初めて見つけたような話をしたけれど、その前に一度会っているんだよ」

その前に会っていた?どこで?

「君がまだ幼稚園の頃だろうか、俺は父親に顔を殴られ家を追い出された。
母親はその時仕事だったから、仕方なく公園のベンチに座っていたんだ。
そこに君がこの公園に友達と遊びに来ていて、俺の前まで来ると悲しそうな顔で見たんだよ。
痛そう、お兄ちゃん大丈夫?って。
そうやって声をかけてくれて絆創膏を数枚くれた。
鞄から漁って、あるだけ俺にくれたんだ。
小さな手に握りしめられた絆創膏を、俺は今も覚えているよ」

流石にそんな記憶は無かった。
友達と公園で遊んだ記憶はあるのだが。

< 153 / 158 >

この作品をシェア

pagetop