初恋の糸は誰に繋がっていますか?
「それ、本当に私ですか?
覚えていなくて」
「子供の頃のことだ、仕方ないよ。
それに君は自分で名前を名乗ったんだよ、私、りせって言うの!って、元気よく。
流石に子供用にイラストの描かれた絆創膏は顔に貼れないから持ち帰って母親に話した。
だから母親は俺が君と公園で会っているのをずっと知っていたし、君を助けたときには褒めてくれたんだ」
「そうだったんですね。
さっき思い出したことがあるんです。
最初会ったとき、お兄ちゃんが私を理世ちゃんって呼んだのは何でだろうと。
そういう事だったんですね」
「はは、お兄ちゃんか、懐かしい」
知らないことが彼の口から知らされる。
紛れもなくここにいるのはお兄ちゃんだ。
あの時、私を守ってくれた、あの。
「あのお兄ちゃんは、逮捕されたのだと思ってました」
「確かにあの逮捕された佐藤辰紀とは同級生なんだ。
読み方が同じだと教員が困るようで、同じクラスになったことは無いんだよ」
「ずっとお兄ちゃんに会いたかったんです、なのに捕まったと聞いて会わなかった間に何があったのだろうと」
「大丈夫、あの時君が出会った俺は君の目の前にいる」
既に目には涙があふれていたけれど、最後の彼の言葉で涙が止まらなくなった。
「ごめんなさい」
「だからなんで謝るんだ」
「だって、だって」
「いいよ、理世が混乱するのも誤解したのも無理は無い。
俺も言葉が足りないのは理解しているんだ」
私は必死に首を横に振った。