【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「おや、どうしたの?」
「……どうしてみんな、アナベルを見るの?」
「ん~、そりゃあ拾った女の子が目を覚ませばねぇ……。でも、そうね。いきなりこんなたくさんの人たちに見られたら怖いよね。ごめんごめん。……そんなわけだから、あなたたちはこっちを見ないであっちを見てなさいな」
「えーっ、ミシェルだけかわいい子を独り占めなんて、ずるいわよぉ」
「そうよ、私たちだって仲良くしたいわぁ」

 ミシェルはしっしっと視線を払うように手を動かす。すると、女性たちは唇を尖らせて文句を口にする。その様子はなんだか楽しそうで、アナベルは不思議な気持ちになる。

 女性たちはアナベルの髪を洗ったり、顔を洗ったり、身体を洗ったりして、彼女のことをピカピカに磨いた。

 そして、ピカピカになったアナベルを見て、頬に手を添えてゆっくりと息を吐く。

「……あらぁ、これは……とっても可愛いわぁ……」
「本当、まるで天使のようね」
「うーん、これは将来、絶対に綺麗になるわよぉ」

 マジマジと見られて、アナベルは身体を隠すように縮こまる。

「ねえ、ミシェル。水浴びもしていい?」
「気をつけるならね」
「わかってるわ。ふふ、水浴びも気持ち良いのよねぇ」

 楽し気に女性たちは湖の水に触れたり、寒くなったらお湯に戻ったりと、自由に移動して旅の疲れを(いや)していた。

< 20 / 255 >

この作品をシェア

pagetop