【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「たっぷりの血を浴びていたものね」
「あれは恐ろしい映像でしたわねぇ。……さて、エルヴィス陛下。この魔女はどこに連れていけば?」
「……地下の牢屋に連れていけ。イレインの物はすべて没収したのちに鑑定し、売れるものはすべて売却。……イレインに手を貸していた貴族たちもそれなりの覚悟をしてもらおう」

 エルヴィスの鋭い視線で射抜(いぬ)かれたイレインと、イレイン派の貴族たちは国王が本気で自分たちを排除(はいじょ)しようとしていることに気付き、息を()む。

「へ、陛下――」

 イレイン派の一人が、声をかけようとした。だが、エルヴィスはじろりと睨んだだけで、その人は「ひぃっ」と短い悲鳴を上げた。

「……さて、罪人には退場してもらおうか。連れていけ」

 国王の命令に、ロクサーヌたちがうなずく。

 そして、「後悔しますわよ! わたしに歯向かったこと!」と捨て台詞を放つイレインに、ただ冷たい視線を送り、会場から出ていったことを確認するとパンっと手を叩いた。

「突然のことで驚いただろう。私が即位してから、イレインのことを止められなくてすまなかった」

 国王であるエルヴィスが頭を下げたことで、他の貴族たちはぎょっとしたように目を丸くする。

 しかし、一人、また一人と拍手をし始め、エルヴィスはゆっくりと頭を上げた。
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