【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
ダヴィドは数度うなずいて、アナベルの姿を頭の天辺から足のつま先まで眺める。
「――さて、レディ。心の準備は?」
「いつでもできているわ。それより、どうかしら? この衣装」
くるりと一回転してみせるアナベル。
彼女の頭には銀色の髪飾りと薄いベールが付けられていて、髪飾りに埋め込まれたサファイアがきらりと光る。唇にはピンク色のグロスが塗られ、彼女の容姿も相まって愛らしい雰囲気を演出していた。
しかし、衣装は異国風のものだ。トップスは短く、胸が隠れるほど。スカートは足首まで隠れるが動くたびにふわりと広がり、軽やかさを見せている。
「それ、エルヴィスの髪色に合わせたの?」
「ええ。とはいえ、真っ黒ってわけでもないのだけど……」
トップスにもスカートにも、金色の刺繍がされていて、照明の下で輝いていた。
「色白なきみだからかな? とても綺麗だと思うよ」
「……それを聞いたら、なんだか自信が持てたわ。――さて、そろそろあたしたちの出番かしら?」
――今日のサプライズゲストが到着したらしく、会場内が一瞬静まり返り、それからゲストに近付いていく人だかりを確認してから、アナベルが悪戯っぽく笑う。
ダヴィドもクレマンも、彼女を見つめて大きくうなずいた。
アナベルはぎゅっと剣の柄を握り、目を閉じて深呼吸を繰り返す。
目を開けて、復讐の炎を宿した瞳で前を見据え、歩き出した。
「――さて、レディ。心の準備は?」
「いつでもできているわ。それより、どうかしら? この衣装」
くるりと一回転してみせるアナベル。
彼女の頭には銀色の髪飾りと薄いベールが付けられていて、髪飾りに埋め込まれたサファイアがきらりと光る。唇にはピンク色のグロスが塗られ、彼女の容姿も相まって愛らしい雰囲気を演出していた。
しかし、衣装は異国風のものだ。トップスは短く、胸が隠れるほど。スカートは足首まで隠れるが動くたびにふわりと広がり、軽やかさを見せている。
「それ、エルヴィスの髪色に合わせたの?」
「ええ。とはいえ、真っ黒ってわけでもないのだけど……」
トップスにもスカートにも、金色の刺繍がされていて、照明の下で輝いていた。
「色白なきみだからかな? とても綺麗だと思うよ」
「……それを聞いたら、なんだか自信が持てたわ。――さて、そろそろあたしたちの出番かしら?」
――今日のサプライズゲストが到着したらしく、会場内が一瞬静まり返り、それからゲストに近付いていく人だかりを確認してから、アナベルが悪戯っぽく笑う。
ダヴィドもクレマンも、彼女を見つめて大きくうなずいた。
アナベルはぎゅっと剣の柄を握り、目を閉じて深呼吸を繰り返す。
目を開けて、復讐の炎を宿した瞳で前を見据え、歩き出した。