あの放課後、先生と初恋。




「然くん、わたし……、伝えてもいい…?」



気づけば言っていた。

息を飲むように静かになった然くんの顔を想像する。



「伝えてきてもいい…?先生に、自分の気持ち」



あの人は応えない。

なんとなく分かっていたから、わたしは言いたくなった。


もし、あの台風の日のような手応えだったのなら、わたしはこんなこと言おうと思わなかった。


恋を楽しんで、ドキドキを味わって、いっぱいいっぱい期待していたはずなんだ。



「……終わりにしてくるね」



好きになってはいけない人を、好きになった。

叶ってはいけない恋を、してしまった。


教師という彼の立場を邪魔する気持ちが、わたしの想いだったんだ。



『…はい』



その声は、今まででいちばん温かくて切ないものだった───。



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