堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「亜蘭、向こうの来賓にあいさつだけしといてくれよ」

 料理に夢中になっていたら、いつの間にか国枝副社長がそばに来ていて、羽瀬川先生に声をかけた。
 そのとおりだ。パーティーといっても仕事をしにきたようなもの。私ばかりに構っている場合ではない。

「悪い。ちょっと行ってくる」

 申し訳なさそうな顔をする彼に、私は首を横にブンブンと振った。

「私のことは大丈夫ですから気にしないでください」
「すぐ戻る」

 私がいたら先生は集中できないかもしれない。会場の外にある椅子に座って待っていようかな。
 そんなふうに考えを巡らせていると、副社長がまだ近くにいて、私の様子を観察していた。

「ドレス、モードクレアの?」
「そうみたいです。羽瀬川先生が用意してくださって……」
「亜蘭が茅田さんのために選んだのか。そこまでするとは」

 モードクレアの御曹司がパーティーに来ているから、別のブランドのものよりはと先生は気を回しただけだ。
 思わず追加で説明しそうになったけれど、副社長だってそれには気づいているはず。私は無言で愛想笑いを返すだけに留めておいた。
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