闇にまぎれた蛍







「……でも、最近になって篠陰に入っていくヴァンパイアが増えて、団体で………人間を襲うようになったんだ」


「なっ…!」


「人間だけじゃない。貴族ヴァンパイアも襲われはじめているんだ」


「…理由は分かってるの?」








私がそう聞くと晴十はゆっくりと首を振った






「現時点ではわかっていない。晃や僕の考えでは力をつけていこうとしているんじゃないかと考えてはいるんだが……」








自信なさげに言う晴十。……でも、私もそう思う






貴族ヴァンパイアほど力を手に入れやすい血を持つ者はいない






人間は空腹を満たすのに使い、貴族ヴァンパイアは力を得るために使う







私がその篠陰でもそう使う









私はそこでハッとした







「…晴十。……もしかして、私が囮になるっていうのを反対した本当の理由って………」








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