彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません

突然の悲劇です


 「え!先生!おはようございますっ」

 「おはようございます」

 キラキラの爽やかなオーラを放ちながらナースステーションに現れたのは脳神経外科医の瀬名瑞貴(せなみずき)先生。

 とても優秀な医師で、俳優並みのイケメンと名高い先生の登場に、大多数の看護師たちの表情がぱっと明るくなる。朝のナースステーションの空気が、目に見えて華やいだ。

 ――相変わらず人気だなぁ。

 私は電子カルテを操作しながら、ちらりとだけ先生の方を見る。

 別に珍しい光景じゃない。
 瀬名先生が来れば、だいたいいつもこんな感じだ。

 私は後ろでまとめたシニヨンに指先で触れると、すぐに視線を画面へ戻した。

 「僕の患者さん、何号室だっけ」

 「305です!先生っ今日私受け持ちでーす」

 担当看護師が先生に笑顔で手を振る。

 「ん。よろしくね」

 そう言って先生は、颯爽と患者さんの病室の方へ消えていった。

 「はいはい、皆さん!朝礼始めますよー」

 看護師長の手を叩く音で、ぞろぞろとみんなが中央テーブルに集合し朝の申し送りが始まる。


 ここは、天海(あまみ)総合病院、一般内科病棟。病床数は60床。主に状態の落ち着いている寝たきりの患者様が多い。病院内で一番病床数が多く、ベッドが空いていれば他の科の患者様が入ることもある。

 先程の瀬名先生は脳神経外科医。だから普段この一般内科に来ることはあまりないけれど、昨日緊急入院になった先生の患者様が脳神経外科が満床で入れず一般内科に来たのだ。
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