月とスッポン 一生に一度と言わず
夢の1人旅
平日の始発の東京駅は、いつもの東京とは別世界のようだった。
スエットにデニム、モッズコートを羽織り、ボーイッシュコーデに身を纏った私は1人新幹線に乗り込む。
自由席の2名席の窓側をゲットして、第一目的地である名古屋駅到着時刻をアラームセットしてから鞄からお茶を取り出し、鞄を抱えながら睡眠だ。
帽子を深く被れば、一見女性だとは思わないだろう。
自意識過剰だと言われようと絡まれない為には、防御は大切だし、歩き回る為に体力をフルにしとかなければ。
早く起きた分をここで取り戻さなければ。
名古屋駅から近鉄へ乗り換えをするために案内板を頼りに移動する。
乗る場所を目にしておきたいと早めにホームへと向かう。
指定を取っていないので、1本見送らなければならない。
これも予定通り。
東京駅で食べ損ねたおにぎりをホームで食べようと準備万端。
さぁ、ベンチに座って食べよう。
とした瞬間手を引っ張られる。
「乗り遅れますよ」
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