「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
 美月ちゃんは俺の懐に入るのがとても上手く、絶妙な距離感を保って接してくれる。

「心配性の巧さんのストレスにならないように、ちゃんとおとなしくしていましたよ」

 軽快な捨て台詞を残して、バッグを持った美月ちゃんはリビングへと向かっていった。俺はワイシャツの袖を捲り上げて手を洗いながら、改めて安堵の息を漏らす。

 美月ちゃんはああ言うけれど、本当に無理をしていないか心配だった。

 毎日の弁当と夕飯作りに加えて、やらなくていいと念を押していたのにトイレ掃除や洗濯物を畳んだりするなどの家事を、その場を動かなくていいという理由からやってくれていたから。

 ダイニングテーブルにはすでに夕食が用意され、器からは白い湯気が上がっている。

「今日は一緒に食べられますね」

 一週間のうち夕食を共にできたのは三回だけ。しかもそのうちの二回は休日だったので、仕事を終えてからという状況はこれで二回目だ。
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