結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 真臣には連絡取りたくないなあと、うんざりしながら帰宅してメールボックスを開くと、中に大量の郵便物が入っていた。毎日チェックして、そんなにため込んでなかったのに、と不思議に思いつつ、一番上の手紙を一通取り出した。

 転送のシールが貼ってあったので、まとめて転送されてきたようだ。特に住所変更をしていない店舗などからのダイレクトメールだろうと思って見たが、宛名は旧住所の私宛で、差出人の名前はなかった。

 しばらく封筒を見つめて気づいた。これは真臣の字だ。

 ぞっとして手紙から手を離した拍子に、郵便受けの中の残りの手紙もバサバサと床に散らばってしまった。
 十通以上はあるそれらの封書はすべて真臣からだ。嫌がらせなのかもしれない。中身を見るのが怖い。


 固い物が入っていないかなど、素人なりに調べてから、慎重にペーパナイフで封筒を開いた。入っていたのは、五枚ほどの便箋のみだった。


 意を決して読んでいるうちに、自分でだんだん口が歪んでくるのがわかる。

 それは紛れもなくラブレターだった。事情を知らない人が読めば、なんて純粋な恋心だろうと思うような熱烈な恋文だった。燃やしてやりたい。

 届いた手紙はとりあえず靴箱の上に放置した。一体なんのつもりなんだろう。いい加減にして欲しい。
 武内さんと結婚を決めたのなら、もう私に構わないで欲しい。
 そのイライラを、鶏肉にぶつけた。無心になり、包丁で大量にぶつ切りしていく。気づけば、とても一人では食べきれない量の唐揚げが出来上がっていた。


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