結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
週末。
店舗の開店時間に合わせて、エントランスで待ち合わせをした。
このマンションの一階には機械式の立体駐車場があるが、八木沢さんの車は地下に置いてあるらしい。
「地下駐車場は平面で便利なのですが、一般には貸してないんです。親戚が車好きで、それだけで満車なんですよ」
なぜ他の居住者に貸し出していないのか。その理由は、たいして車に詳しくない私にもすぐにわかった。
狭い地下駐車場には、一台で郊外に家が建ちそうな高級車が、ずらりと並んでいたのだ。
フェラーリやアルファロメオ、ベントレーも鎮座している。
親戚ってイギリス王室のひとなの? これ絶対ぶつけちゃいけないやつ。私だったら、この隣に駐めたくない。世界が違う。
「インフィニティQ60まである!」
「海外専売で左ハンドルじゃなかったら、僕も欲しいんですけどね」
笑いながらそう言った八木沢さんの車は――予想通り、国産の高級セダンだった。けれど、左ハンドルの高級車ばかりを見たあとだったので、なぜだかほっとした。