結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 週末。
 私の部屋で、八木沢さんと一緒に夕飯を食べたあと、勇気を出して聞いてみることにした。
 過去に婚歴があるなら教えてくれるだろう。嘘はつかないと思う……多分。
 ちょっと緊張しながら、お茶を淹れて、湯気の向こうにいる彼に質問する。

「八木沢さんは、結婚を考えたことはないんですか?」
「ありますよ」
「そうですか」

 あっさり肯定された。このあと、どうしよう。
 言葉に詰まっていると、茶托から湯飲みを持ち上げて、彼が笑った。
 ちょっと意地悪そうに笑っているから、この質問がいつかくることを想定していたのかもしれない。

「気になる?」
「……それは……気になります……」

「秘密です、と言いたいところですが、別に隠すこともないので。以前、結婚を考えたことはありました。でも断られました。その彼女は別の男性と結婚して、それきり一度も会ってません。おしまい」
「……すみません、変なこと聞いて」

 その女性が別の男性と結婚した、という事実にほっとしている自分がいた。
 でも同時に、八木沢さんはその女性以外と結婚するつもりがないから、「結婚しない」と公言してるのかなと思い至り、胸の奥がちくちくと痛くなった。

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