初恋 〜この夏は、キミのために〜
半年後



 ※※※


 半年後。

 相変わらず平和な港町だが、旭は苛立ちを隠せずにいた。


「ったく、信じらんねぇ! 翔兄ちゃん! たい焼きをくれ!」

「おいおい。今日はどうしたってんだ? はい、たい焼き。まいど」


 商店では、冬になるとたい焼きの販売が行われる。

 つぶあんがたっぷり入っているが、安価でとても人気だ。

 たい焼きを受け取ると、頭からかぶりついた。


「今、会社の手伝いしてるんだけど『会社潰す気か!』って! 毎日スゲー怒られんの!」

「はは、親父さんも素直じゃねぇなぁ」

「天邪鬼すぎるだろ。東京へ行きたいって言ってもダメで、家業を継ぐって言っても……どうせ親父は俺を否定したいだけだ」

「そんなことないって。花火大会で旭が手伝ってた時、親父さん裏では嬉しそうにしてたぞ?」


 翔の言葉にコロっと「ほんとに?」と目を輝かせた。


「てか、こんなとこにいていいわけ?」

「え? ーーあっ!」


 用事を思い出した旭は勢いよくたい焼きを食べ、「ごちそうさん!」と言い商店を飛び出した。


「ったく。あんなに雅ちゃんとの約束を楽しそうに話してたのに、忘れるかね。そろそろーー来てる頃だろ」


 花火大会の翌日、雅は東京に戻った。

 戻ってからも、旭との交流は続いていた。

 雅は手術を受け、無事完治した。

 そして、長めの春休みに入った雅が今日から港町へ遊びに来ることになっていたのだ。

 旭の初恋が、動き始めるのであった。


 〜完〜


< 19 / 19 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
夏川 陽奈(なつかわ ひな) 22歳 高校在学時から親戚家族に搾取され続ける 掛け持ちフリーター 週刊少年漫画が大好き × 冬田 涼太(ふゆた りょうた) 30歳 週刊少年漫画を連載する売れっ子作家 父は実業家で仕事を否定されがち 陽奈にだけは優しい…? 親戚に搾取され、身を粉にして働く陽奈に 売れっ子作家先生が提案したのは 『契約結婚』ーー!? ワケアリ偽装結婚のはずが 気難しい先生は、私にだけ甘すぎて……♡
表紙を見る 表紙を閉じる
波田初花は大手製薬会社華蘭に入社して三年目の経理部社員。 東京での生活に慣れ、同僚は良い人ばかりな温かい環境。 ただ一つ、悩みがあった。 それは――。 「誰か、いい人おらんの?」 実家の母からの結婚を匂わせるメッセージ。 それにため息を吐いていたら、仲良しな同期から マッチングアプリを勧められる。 でも、マッチングアプリには 怪しい人ばかり……! もう、辞めちゃおう……そう思った時に、 新着で届いたメッセージに心打たれて、 数か月かけて仲良くなり、実際に会う約束をする。 だけど、そこにいたのは――。 会社の花形・営業部のエース。 芸能人のように整った容姿と華やかなオーラを持ち、 社内で知らない者はいない有名人―― 鷹岡颯馬だった。 なんでマッチングアプリなんてやってるの――!? 住む世界が違いすぎる人だし、今後気まずくなるかも…… そんな思いから、初花は逃亡を決意。 しかし――。 「バックレってさ、 あのアプリではかなりアウトなご法度だって知ってる?」 「えっ……!?」 「でも、俺も面倒なのはごめんだからさ。 ひとつ、頼みを聞いてくれない?」 「頼み……?」 「付き合ってくれるフリしてくれるなら、通報しないよ」 脅し(?)から始まる純愛ストーリー
変なメール

総文字数/197

ホラー・オカルト1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
意味がわかると怖い話

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop