ホテル王と一夜の過ち 社内恋愛禁止なのに、御曹司の溺愛が止まりません
「ああ。これからは、誰に文句を言われようとも。オーナー就任まで、俺はこの支店で総支配人として勤務し続ける」
「恋愛禁止の就業規則、どうするつもりなんすか?」
「改定済みだ」

 慎也さんは就業規則の書かれたファイルを取り出すと、書き換えられた場所を指でさし示す。

『社内恋愛は禁止とする。ただし、夫婦が同一支店に勤務している場合のみ、就業規則違反には当たらないとする』

 日付は私達が籍を入れる前日になっている。

 これぞ正しく、職権乱用と言う奴だ。

 さすがは御曹司。
 自分の利になることであれば、堂々と就業規則すらも捻じ曲げて見せるのね……。

 それをやりすぎだと異を唱えるか、私の為にありがとうと喜ぶかは意見が別れる所だろう。

「俺達三人で、再び山田様を出迎えなくてはならないからな」
「山田様と言えばさぁ! 総支配人と香帆が結婚したって聞いたら、すげー驚くんじゃねぇの!?」
「山田様なら、祝福してくださるはずよ」
「そうだな」

 また来年も三人一緒に、ホテル・アリアドネで出迎えてほしいと願い出てくださった山田様を思い浮かべた私達は、ひとしきり笑い合ったあとそれぞれの持ち場につく。

 来年のことを考えると、鬼が笑うと言うけれど。

 私達はこれからも、愛する人達とともにこのホテル・アリアドネで働き続ける。

「――香帆」

 彼に名前を呼ばれた私は、幸せな気持ちで満たされながら。
 満面の笑みを浮かべて、お客様を出迎えた。

「ようこそ。ホテル・アリアドネへ!」
< 168 / 168 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:52

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

聖女のいない国に、祝福は訪れない【電子書籍化】

総文字数/91,396

ファンタジー200ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
──その日、一人の聖女が崖下の側へと身を投げた。 双子の妹こそが真の聖女であると語る皇太子に婚約破棄を突きつけられたからだ。 敵国に流れ着いた聖女フリジアは、悪逆非道の皇帝セドリックに見初められる。 「俺が君を、守ってみせる」 「もう二度と、繋いだこの手は離さない」 「エル・アルカ・ディーネ。祝福の光を」 流行り病の蔓延を癒しの力で未然に防いだフリジアは、アーデンフォルカ帝国で愛されし聖女となる。 「ゆ、幽霊!?」 セドリックと共に母国へ姿を見せたフリジアに驚く皇太子へ、彼女は自ら印籠を渡す。 「聖女のいない国に、祝福は訪れない」 ――これは七年間虐げられた聖女の、逆転劇。
表紙を見る 表紙を閉じる
「僕が本当に愛しているのは、君の妹なんだ」  前世の記憶を持つ公爵家の娘エルネットは、自身が愛し合う二人を引き裂く乙女ゲームの悪役令嬢みたいな存在なのではと疑念を懐き、すぐさま許嫁解消を了承した。  彼女が黒魔術を解呪し、天才魔術師として賞賛を受ける中ーー。 「俺がもらってやる」 「誰があんたに、嫁ぐもんですか!」  不仲な第二王子のレオドールに、求婚される。  彼女は婚約を拒否するが、彼の溺愛に絡め取られーー。 「僕を捨てないでくれ!」 「私達の仲を、引き裂かないで!」  元許嫁と妹に泣き叫ばれ、今日もエルネットの周りはお祭り騒ぎ!  ーーこれから私の人生、一体どうなっちゃうの〜!?  好きな子ほど虐めたいツンデレ系ヤンデレ第二王子(脳筋騎士団長)×原作知識なしの転生悪役令嬢(魔術の天才) 2025/05/08~ ※2026/5/15 致命的な誤字のみ修正 タイトル変更して小説家になろうにも投稿中。
表紙を見る 表紙を閉じる
 7番目の子どもで次女のエクリーユは王家でたった1人だけ異能を発現できずに不義の子と疑われ、家族から「無能」と蔑まれてきた。 「これが私の力。全てを灰にする、炎よ!」  彼女は18歳で異能に目覚め、家族に復讐を始めた。  大嫌いな末姫に憎悪をぶつけた直後、味方になってくれた5男に邪魔されてしまう。  動揺した少女は命を絶とうとするが、隣国の国王リドディエによってその場から連れ出される。 「君を、世界で一番幸せな王妃にしてやる」  傷ついた心を癒してくれる、  あなたが一緒なら、きっと大丈夫。 「私はもう、無能ではない。リドディエ様の、妻になる女よ!」  妹への復讐を完遂した少女の前に立ちはだかるのは、かつて愛した心優しき兄で……?  苛烈な復讐を終えた第2王女 ×  彼女を娶りたい心優しき若き王 小説家になろうにも掲載中。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop