君の花火を忘れない

告白×2回目

…ど、どうしよう…。
湘の告白は、冗談なんかじゃないって真剣な瞳から伝わってくる。
告白されて最初の言葉は、『どうしよう』だった。
もし私に好きな人がいなかったら、友達からスタートするのもありだったかもしれない。
だ・け・ど
「ごめんなさい。私、好きな人がいるの」
湘と目を合わせて、伝える。
私の頭にパッと浮かんだのは、時折見せる、あの笑顔。
励まして私のそばにいてくれる、あの人。
真剣な瞳から、逃げ出したいけど、ここは頑張らなくちゃ。
「…そっか。雅空?」
一瞬、答えるのをためらったけど、ここは言わないと、さらに湘を傷つけてしまうことになるから。
「………うん」
「…悔しいなぁ。あいつに負けたなんて。………あっ、でも!これからも…『友達』でいてくれるか?今までみたいに。同じ誕生日の人として、奈那の1番の男友達でいたいんだ」
「もちろん。これからもよろしく、湘」
湘は苦虫をかみつぶしたように笑った。
「じゃ、じゃあな。また…いつか」
「うん」
「俺のこと、忘れないでほしい。奈那の…大切な人でいつまでもいられるように」
私がうなずくと、湘は去ってしまった。
「…奈那?」
しばらしくて、雅空が廊下に来た。
「あっ、ごめん。心配かけちゃったかな?」
「いや、別にいいんだ。…その、アイツは?湘は?」
「ええっと…帰った」
私がそう言うと、雅空は目を丸くして驚いた。
「帰った⁉︎ なんで⁉︎ なんかされたか?」
「ううん」
短く答えると、妙に納得した顔で、
「そうか…あー…これ、さっき渡せなかったものなんだけど、受け取ってくれるか?…誕生日プレゼント」
雅空はラッピングした小さな手のひらサイズの箱を私に渡した。
「ええっ⁉︎ いいの⁉︎ ありがとう」
私が微笑むと、
「…笑った」
と雅空が嬉しそうに言った。
「え?」
「今、笑ってくれた。俺、それがスゲー嬉しい」
なんと答えたらいいのかわからず、
「ありがとう」
とだけ言った。
「あ…でも、カレシにはもうその笑顔も見せてるのか」
カレシ…枯れ…?
「…彼氏⁉︎ ってあの、カノカレの?私、彼氏いないよ?」
「えっ、だってさっき、湘に告られて、OKしたんだと…」
「断ったよ。私には、好きな人がいるから」
告白したような気分だ。
というかむしろ、ほぼもう告白してるよね⁉︎
「好きな、人か……、もういいや。俺、奈那のこと好きだったんだ。ずっと前から」
「…私も」
恥ずかしいっ…!
雅空もおどろいた表情をして、
「…俺の聞き間違い?今、『私も』って」
「うん。…言ったよ。だって私の好きな人、雅空だもん‼︎」
「…マジか。嬉しい…」
私もだよ、雅空!
声に出すのはまだ恥ずかしい。だけど、嬉しいのは確か。
「この誕生日プレゼント…開けてもいい?」
「どうぞ」
「…わぁ…すごい!」
出て来たのはキーホルダー。
濃い紫や青、さまざまな色の天の川に散りばめられたラメ。
小さく花火も描かれている。
「あー、ごめんな、花火。嫌いになっちゃいそうって言ってたのに。この間、奈那の親友の香織なら奈那の好みとかわかりそうだなって思って、2人でプレゼント買いに行ったんだ。選んだのは、俺だけど。七夕みたいで、夏らしいなって思ったんだけど…」
「あやまらないで。私って、単純みたい。花火、好きになっちゃった!プレゼント、嬉しい!本当にありがとう。さっそく、カバンにつけちゃおうかな」
私がお礼を言うと、焦ったように、照れたように早口で、
「ど、どういたしまして。まだ、祭り楽しめそう?今からでいいなら、まだ行こう」
「いいの?ありがとう‼︎ …今からでいいならって、もちろんだよ!」
「じゃあ…俺と恋人つなぎして」
雅空はそう言って、私に微笑みかけた。

end
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