失くしたあなたの物語、ここにあります
「沙代子さんなら間違いないわよ。うららちゃんにもマスターしてもらわなきゃね」
おばさんはお茶目な笑顔でそう言う。そのためにうららを呼んだのだろうから、沙代子も気合いが入る。
「うららちゃん、計量手伝ってもらえる?」
沙代子がお願いすると、うららは「はいっ」と威勢のいい返事をして袖をまくる。
「私も手伝うわ。薄力粉測って、ふるいにかけるわね」
おばさんが早速、薄力粉の袋を持ち上げるから、沙代子はローズマリーを手に取る。
「私はローズマリー刻んだら、レモンをすりおろしますね」
「ほかの材料の計量は任せてください」
うららは計量カップとオリーブオイルを持ってくると、レシピをのぞく。真剣な眼差しで正確な量を測っていく。意外といったら失礼だけど、きっちりとしたすごく丁寧な作業をする。
「三人で作ってると懐かしくなります。こうやって、天草のおばあちゃんとおばさんがケーキ作るの、よく見てたなぁって」
「うららちゃんはおばあさんが作るところ見て育ったんだね」
誰に向けるでもなく言ううららに、ローズマリーの葉をみじん切りにしながら、沙代子は羨ましく思ってそう言う。
沙代子が生まれたときにはすでに父方の祖母はおらず、母方の祖母は厳格な人で、孫と穏やかに過ごすような人ではなかった。その上、母は料理があまり得意ではない。微笑ましい光景を思い浮かべたら、反応せずにはいられなかった。
「母が忙しい人だったから、おばあちゃん子だったんですよ。だから、雑誌でおばあちゃんのケーキが紹介されたときは友だちに自慢したりして、誇らしかったなぁ」
「雑誌で紹介されたの?」
おばさんはお茶目な笑顔でそう言う。そのためにうららを呼んだのだろうから、沙代子も気合いが入る。
「うららちゃん、計量手伝ってもらえる?」
沙代子がお願いすると、うららは「はいっ」と威勢のいい返事をして袖をまくる。
「私も手伝うわ。薄力粉測って、ふるいにかけるわね」
おばさんが早速、薄力粉の袋を持ち上げるから、沙代子はローズマリーを手に取る。
「私はローズマリー刻んだら、レモンをすりおろしますね」
「ほかの材料の計量は任せてください」
うららは計量カップとオリーブオイルを持ってくると、レシピをのぞく。真剣な眼差しで正確な量を測っていく。意外といったら失礼だけど、きっちりとしたすごく丁寧な作業をする。
「三人で作ってると懐かしくなります。こうやって、天草のおばあちゃんとおばさんがケーキ作るの、よく見てたなぁって」
「うららちゃんはおばあさんが作るところ見て育ったんだね」
誰に向けるでもなく言ううららに、ローズマリーの葉をみじん切りにしながら、沙代子は羨ましく思ってそう言う。
沙代子が生まれたときにはすでに父方の祖母はおらず、母方の祖母は厳格な人で、孫と穏やかに過ごすような人ではなかった。その上、母は料理があまり得意ではない。微笑ましい光景を思い浮かべたら、反応せずにはいられなかった。
「母が忙しい人だったから、おばあちゃん子だったんですよ。だから、雑誌でおばあちゃんのケーキが紹介されたときは友だちに自慢したりして、誇らしかったなぁ」
「雑誌で紹介されたの?」