繋いだ手は離さない
第7章
     7
「後期の授業、もうすぐ始まるわね」


「ああ。……もちろん、君は準備できてるんだろ?」


「ええ。一応教科書には全部目を通してあるから」


「じゃあ、準備万端じゃん」


「そうね。あたし、普段からしっかり勉強するタイプだし」


 愛理香がそう言って、フフフと笑う。


 ボクも釣られるようにして笑ってしまった。


 ボクは学校の授業は要領よくやればいいと思っていて、学業の傍(かたわ)ら自分の夢に向かって走っている最中だ。


 それは大学卒業後、一切就職などせずにアルバイトをしながら、小説を書くということだった。


 幸い、ボクはパソコンのワードの画面を埋めるのに全くと言っていいほど抵抗がない。


 逆に、そういった職業が天職なんじゃないかと思えるぐらい、文芸が好きだった。
 
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