繋いだ手は離さない
 ボクが試しに愛理香に訊いてみる。


「君さ、学校出たら何になるの?」


「あたし?あたしは……普通のOLになっちゃうんじゃない。だって別に人文にいても、文才とかってあるわけじゃないし……」


「俺はね、作家になりたいんだ」


「作家?……小説家?」


「うん、一応ね。今やってることはその基礎工事みたいなものだって思ってる。小説を書くための、ね」


「へえー。純平が作家になったら、どんな作品書くんだろ?」


「今考えてるのが恋愛小説。まだあんましその手の経験がないけど、これからする体験でそれを勉強していこうかなって思ってるよ」


「そう……」


 愛理香が言葉尻に微妙な含みを残しながらそう言い、言い終わって、


「あたしとの体験でも役に立つ?」

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