繋いだ手は離さない
第11章
     11
 その年の夏――そう、七月の頭頃だっただろうか――、ボクと愛理香は海ではなく、山に遊びに行った。


 登山するわけじゃないが、一応上下ともそんな格好をして、ボクの運転で一路山へと向かう。
 

 ボクも愛理香もこの町の裏手に小高い山があり、成人男女なら十五分ほどで登れる場所を知っていた。


 ボクがハンドルを握って、山にある公園の出入り口の駐車場で車を停めると、二人で手を繋ぎ、ゆっくりと山に付属する公園に向かって歩いていく。


 二人で山間(やまあい)を散策するのも楽しい。


 深呼吸して綺麗な空気を胸いっぱい吸う。


 そしてゆっくりと歩いていく。


 ボクたちは前の年も山に来ていたので、地理はしっかりと頭に叩き込んでいた。


 二人で手をたずさえて、ゆっくりと歩く。


 さすがに公園まで来てから、少し息が上がると、ボクも愛理香も一休みするため、設置してあった木製の椅子に座る。
< 69 / 124 >

この作品をシェア

pagetop