《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
『その髪……綺麗なのに、まとめてしまうのだな』
そう言って腕を伸ばし、あろうことかユフィリアの髪に触れようとしてきたのだ。ユフィリアがのけぞって拒否したので相手も腕を引っ込めたが——《綺麗》だなんて、言われたことのない褒め言葉にぞくりと悪寒が走る。
——ユフィリアの綺麗なこの髪が好きだ。
どこからか声が聴こえたような気がして振り返った。だが近くに声の主となるような男性がいるはずもない。
同時に朧の記憶のなかで、自分を抱きしめた大きな手のひらにゆったりと髪を撫でられているような感覚に陥る。腕の中のユフィリアは心地よさそうに、安心しきったような表情を浮かべていて——。
——今の、なに……?
「ユフィ姉さま?」
ナディアが訝しげに見上げている。