《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
第三章
残穢
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聖女たちの寄宿棟に、人の気配はなかった。
誰にも姿を見られることなく、神官たちの背後を掠めても気付かれることなく自室に戻ったユフィリアは、倒れ込むように寝台にダイブする。
「ふぅぅ〜〜〜っ」
レオヴァルトとの一連のやり取りが走馬灯さながら頭の中を駆け巡る。
懲罰室から助け出されたこと、レオヴァルトの部屋に連れ込まれたこと、契約という名の結婚を持ちかけられたこと────…。
「契約婚、ねぇ……」
──承諾しちゃって良かったのかしら。
『傲慢なだけのくだらない女に、万能の私が妻になって欲しいなんて頼むと思うか。』
レオヴァルトのあの黄金色《きんいろ》の瞳が眇められ、すらりと手の甲を撫でられた。あの時感じた奇妙な感覚……背中がぞくりと泡立つような……を思い出す。
──やだやだ、私ったら、なにドキドキしてるのよ?!