《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
「……こちらに、連れて来ますか?」
自分はお咎め無しだと安心した神官が、ようやく落ち着いた呼吸をし始める。
「いや、今は良い。代わりに伝えておけ。夕食が済んだら私の部屋を訪ねるようにとな」
上目遣いに頭を下げ、神官が退室するのとほぼ同時だった。
「レオモンド叔父様……ッ」
神官と入れ違いにレイモンド卿の部屋を訪れたのは、彼の姪の筆頭聖女イザベラだ。
神官ほど慌ててはいないが、今にも泣き出しそうにワインレッドの瞳を涙で潤ませている。
「おお……イザベラではないか。ウン……?! その眼《め》はどうしたのだ。泣いておるじゃないか」
先ほどの神官とのやりとりが嘘のようなニヤけた表情と猫撫で声である。
イザベラはこれみよがしに肩をすくめると、レイモンド卿の部屋に置かれた肘掛け椅子に頼りなげに腰掛ける。