《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
顔にかかったレースのベールが捲られて、レオヴァルトの整いすぎた顔がゆっくりと近づいてくる。
美しい金色の瞳に、伏した長い睫毛が影を落とした。
──く、来る……!
頭の先からつま先まで硬直させ、直立不動のまま「ぎゅっ」と目を閉じていると。
ユフィリアのまぶたに影が差して暗くなり、顔面に何かが近づく気配がした。
不意に、冷たく柔らかなものが唇に触れる初めての感触にどきりと身体が跳ねる。けれど《《それ》》はいかにも形式ばった、ごく軽いものだった。
引き結ばれたレオヴァルトの唇が、控えめにユフィリアの唇に触れている。
『キス』というものを経験したのは生まれて初めてだ。
ルグランとは手を繋ぐか繋がないかの清すぎる関係だったし、孤児だったため親にされた記憶もない。
──よ、良かった。初めてでちょと怖かったけど、キスなんて、思ってたほど大した事ないじゃない?