《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!

「とっとと逃げること!」
『ええ〜っ、もっとすごい事かもって期待しちゃった……』

 ふふ、と知らずに笑みがこぼれる。

「なに言ってるのポメラ。《《逃げる》》は、最強よ?!」

 銀色の長い髪が朧月夜にさらさらと煌めいている。普段は去勢を張るように見た目が派手なツインテールを結えているが、下ろした髪をこうして夜風に遊ばせるのはとても気持ちがいい。

 貧民街で病める人を治癒し続ければ、翌日はすぐに起き上がれないほどに疲弊する。それでもユフィリアは自らを鞭打つように病める人を求めて月夜を駆ける。

 そのためには、昼間はなるべく聖女の力——グラシアを温存する必要があった。

 ——昼間に無駄なグラシアを使って動けなくなるくらいなら、私は《クズで無能な聖女》でかまわない。



 
 
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