《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜
吹き抜けの巨大なガラス窓から差す光の筋や、古紙の、枯れ草に似た香ばしい匂い。
適度な静寂の快適さも手伝って、セリーナは「一日中この空間に入り浸っていたい」とさえ思うのだった。
──そろそろ戻らなくちゃ。
大切そうに本を抱え、書庫室を出ようとしたときだ。
「あら……ずいぶん貧相な方がいらっしゃると思ったら、まさかあなたも『白』なの?」
あからさまにセリーナを見下すような声が、背後から耳に届いた。
振り返れば、そこには──セリーナと同じ《白の侍女》が三人立っている。
「驚いた。カイル殿下にお仕えする上級侍女に、あなたのような見窄らしい人がいるのね」
綺麗な巻き髪をふわふわ弾ませた白の侍女が、あからさまに眉を寄せた。