《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

「そういえば、出仕初日に事務官に息巻いていたのはあなたよね。白の侍女の業務内容も知らずに志願したなんて、呆れてしまいましたわ……!」
 
 確かに、その通りかも知れない。
 彼女の言う通りだ。

「でも、あれは……」

 ──出願内容に間違いがあった。

 言いたい事があるけれど、唇が動かない。
 村にいた時に染みついたセリーナの悪い癖だ、面と向かって責められると何も言えなくなる。

「あなた自覚はあるの? この純白のお仕着せは、宮廷に出仕する侍女三百人の『顔』なのよ。そんなひどい顔色をして、せめてもう少しお化粧でもなさったら?!」

 目の前で仁王立ちをする三人が、ロレーヌの村のエライザと取り巻きたちに重なる。無意識に足がすくんで、鳩尾《みぞおち》のあたりがぎゅうっと痛くなった。
 
 ──皇城に来たって同じ。どこにいても変わらない、私は何も言えない、変われない……っ



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