貴方が此処に居るから



和也の顔が、何か真剣だった。

仁君の顔も、何か深刻だ。



「父さん、一回は回復したんだけど、また倒れたらしくて。ついに昨日、入院したんだって。」


聞きたくない。聞きたくない。
寂しくなりそうな話なら、耳を塞いでしまいたい。

あたしは思わず、顔をしかめて言った。


「和也?何であたしに、その話をしたんだ?」


あたしに若干責められている筈の、本来は一番辛い筈の和也は、穏やかに笑って言った。


「前の電話の時、美綺は俺と一緒に居て、話を聞いてくれてたからだよ。俺、あの時一人だったら、心折れてた。……美綺、そんなに悲しそうな顔をしないで?辛いのはきっと俺一人で、美綺じゃないんだから。」







心配してくれたのは、嬉しかった。

だけど和也は、また無駄に強がってる。
しかも、人の気持ちを分かってない。






あたしは、楓の言った事が幾らか分かった。

顔を上げたら、仁君と目が合った。




クリスマスまで、あと21日。






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