『ル・リアン』 ~絆、それは奇跡を生み出す力!~ 【新編集版】
その夜、居酒屋の2階を借り切ってゼミの歓迎会が行われた。教授はテレビ出演のため不在だったが、先輩の4年生が全員でもてなしてくれた。彼らは口々に「おめでとう」と笑みを浮かべて、次々にビールを注いでくれた。
それが嬉しかった。注がれるたびにグラスを空けた。憧れのゼミに入れた喜びだけでも舞い上がりそうになっている上に、先輩がもてなしてくれるのだ、これ以上幸せなことはなかった。
宴が進み、かなり酔った同期生が話しかけてきた。
「教授は三方よしと言ってたけど、あれって三方一両得の間違いじゃないのか」
確かに、三方一両得という言葉に聞き覚えがあった。でも、教授が間違えるはずはない。日本を代表する学者なのだ。とはいっても、木から落ちる猿もいる、う~ん、と心の中で唸っていると、彼は一段と大きな声を出した。
「日本の第一人者なんて言われているけど、教授もたいしたことないよな。大丈夫か、あの人」
すると、近くにいた先輩が怒ったような顔をして同期生の目の前に座った。
「君! 澤ノ上教授に対して失礼なことを言うんじゃない」
同期生は一瞬怯んだようだったが、「たいしたことないんだから、たいしたことないって言ったんですよ。どこがおかしいんですか」と口の端に泡を溜めて食ってかかった。
「君ね」
先輩の目が座っていた。
「三方一両損という言葉はあるけど、三方一両得なんていう言葉はないんだよ。大岡裁きのことをきちんと理解してから発言しなさい。教授のことをバカにしたら私が許さん!」
余りの剣幕に同期生は青ざめたようになったが、しどろもどろになりながらも言い訳を始めた。自分が間違っていたことを認めようとせず、なんとかこの場を逃れようとしていた。しかし先輩はそんな態度を許さなかった。
「明日からゼミに来なくていい」
冷たく突き刺すような声に場が凍った。
彼はゼミ長だった。教授から最も信頼を得ているゼミ長の命令は教授の命令と同じだった。
ヤバイと思って同期生を見た。謝ってこの場を収めるものとばかり思っていたが、彼の目には反省の色が見えなかった。無礼を謝るような雰囲気は微塵もなかった。
「こっちがお断りだよ」
ゼミ長に対して悪態をつき、ふらつく足でその場を去っていった。
それが嬉しかった。注がれるたびにグラスを空けた。憧れのゼミに入れた喜びだけでも舞い上がりそうになっている上に、先輩がもてなしてくれるのだ、これ以上幸せなことはなかった。
宴が進み、かなり酔った同期生が話しかけてきた。
「教授は三方よしと言ってたけど、あれって三方一両得の間違いじゃないのか」
確かに、三方一両得という言葉に聞き覚えがあった。でも、教授が間違えるはずはない。日本を代表する学者なのだ。とはいっても、木から落ちる猿もいる、う~ん、と心の中で唸っていると、彼は一段と大きな声を出した。
「日本の第一人者なんて言われているけど、教授もたいしたことないよな。大丈夫か、あの人」
すると、近くにいた先輩が怒ったような顔をして同期生の目の前に座った。
「君! 澤ノ上教授に対して失礼なことを言うんじゃない」
同期生は一瞬怯んだようだったが、「たいしたことないんだから、たいしたことないって言ったんですよ。どこがおかしいんですか」と口の端に泡を溜めて食ってかかった。
「君ね」
先輩の目が座っていた。
「三方一両損という言葉はあるけど、三方一両得なんていう言葉はないんだよ。大岡裁きのことをきちんと理解してから発言しなさい。教授のことをバカにしたら私が許さん!」
余りの剣幕に同期生は青ざめたようになったが、しどろもどろになりながらも言い訳を始めた。自分が間違っていたことを認めようとせず、なんとかこの場を逃れようとしていた。しかし先輩はそんな態度を許さなかった。
「明日からゼミに来なくていい」
冷たく突き刺すような声に場が凍った。
彼はゼミ長だった。教授から最も信頼を得ているゼミ長の命令は教授の命令と同じだった。
ヤバイと思って同期生を見た。謝ってこの場を収めるものとばかり思っていたが、彼の目には反省の色が見えなかった。無礼を謝るような雰囲気は微塵もなかった。
「こっちがお断りだよ」
ゼミ長に対して悪態をつき、ふらつく足でその場を去っていった。