恋の微熱に溺れて…
「さて、焼き上がるのを待っている間に洗い物でもしようかな」

料理もそうだが、お菓子作りもそれなりに道具を使うため洗い物が多い。
料理と違うのはお菓子は焼いている間、火加減を気にせずに放置できるので、洗い物に専念できるのが楽だ。
ただ焼く前にオーブンを予熱して温めておかなければならないので、そこは手間がかかるので面倒だが...。
案外、お菓子作りもそんなに難しくないと感じた。
これを機にたまにはお菓子作りをしてみるのもアリかなと思った。

「あっという間に洗い物も終わっちゃったね...」

焼き上がるのを待っている間に洗い物を終えてしまった...。
まだ焼き上がるまでに時間があるので、優希と喋りながら焼き上がるのを待つことにした。

「ねぇ、優希。一緒に作ってくれてありがとうね」

色々大変な中、レシピまで準備してくれて一緒にバレンタインに渡すチョコを作ってくれた。
優希のような優しい友達は早々いないので、もっと優希を大事にしようと思う。
そしてまた近いうちに優希を遊びに誘う。友達との時間の大切を改めて感じた。

「いえいえ。こちらこそありがとうね」

優希は今後、どんな選択を選ぶのだろうか。
手作りチョコがもたらす結末がどうなるのか、それも気になるところだ。

「京香に私の手作りチョコをあげる」

突然のことに驚きを隠せなかった。だってこの手作りチョコはお互いに彼のために作ったチョコのはず…。

「え?いいの?私がもらっても…」

「いいよ。京香にもらってほしいからあげるの。私、決めたの。彼氏と別れる」

彼との今後についてちゃんと話し合ってから決めると思っていたが、どうやらこの場で答えが決まったみたいだ。

「優希がそれでいいならそれでいいと思うよ」

あとは二人で決めることだ。私が口を出す権利はない。

「そう言ってくれてありがとう。京香と一緒にチョコを作って思ったの。今の京香、とても幸せそうで羨ましいなって。それって京香が将来とかに不安を感じないくらい素敵な人とお付き合いしているからだなって。
そう思ったら今の私って全然幸せじゃないなって。もっと自分を幸せにするために、彼と別れて新しい人生を歩みたいって思ったの」

優希は自分を俯瞰して見た時に、今の自分が幸せではないと捉えたみたいだ。
私からしたら優希は充分、幸せ者だ。ただ今の自分が求める理想の幸せと違うだけだ。
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