激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「ようこそお参りくださいました」
挨拶する彼に、紫緒は頭を下げる。
「この前はありがとうございました」
「あのとは大丈夫でしたか?」
聞かれて、思わず言い淀む。
「大丈夫ではないようですね」
「実は、会社を辞めることにしました」
「次は決まっているのですか?」
「決まってないんです。寮も出ないといけなくて、やばいです」
紫緒は笑って見せた。
「最悪、両親のところに行きます。愛知なんで遠距離の引っ越しになりますけど」
紫緒が大学に入学するタイミングで父の転勤が決まった。紫緒は東京に残って一人暮らしをして大学に通い、母はマンションを売って父の転勤についていった。その後、紫緒は地元の会社に就職し、寮に入った。
「よろしければ、うちで巫女をしませんか? 給料は高いとは言えませんが、住まいは用意します」
千暁の申し出に、紫緒はきょとんとした。
彼は穏やかに微笑している。見る者に安堵を与えるそれは彼の気性のおかげだけではなく、神主として身に着けたものでもあるのだろう。
「仕事に誠実にとりくんでいるのはお話から推察できました。そういう方にお願いしたいのです」
「でも」
「次の仕事が決まるまででもかまいません。混む時期には助勤巫女の方もいらっしゃいます。いわゆるバイトですね」
目をさまよわせると、暮れ行く空が映った。
挨拶する彼に、紫緒は頭を下げる。
「この前はありがとうございました」
「あのとは大丈夫でしたか?」
聞かれて、思わず言い淀む。
「大丈夫ではないようですね」
「実は、会社を辞めることにしました」
「次は決まっているのですか?」
「決まってないんです。寮も出ないといけなくて、やばいです」
紫緒は笑って見せた。
「最悪、両親のところに行きます。愛知なんで遠距離の引っ越しになりますけど」
紫緒が大学に入学するタイミングで父の転勤が決まった。紫緒は東京に残って一人暮らしをして大学に通い、母はマンションを売って父の転勤についていった。その後、紫緒は地元の会社に就職し、寮に入った。
「よろしければ、うちで巫女をしませんか? 給料は高いとは言えませんが、住まいは用意します」
千暁の申し出に、紫緒はきょとんとした。
彼は穏やかに微笑している。見る者に安堵を与えるそれは彼の気性のおかげだけではなく、神主として身に着けたものでもあるのだろう。
「仕事に誠実にとりくんでいるのはお話から推察できました。そういう方にお願いしたいのです」
「でも」
「次の仕事が決まるまででもかまいません。混む時期には助勤巫女の方もいらっしゃいます。いわゆるバイトですね」
目をさまよわせると、暮れ行く空が映った。