激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない



 その後は歩き方、座り方、立ち方など巫女としての立ち居振る舞いを指導された。
「静かに歩いて、急いでいても境内を走らないでください」
「はい」

「あくまで私たちは神に御奉仕する立場です。それを念頭に置いてください」
 千暁は念を押してそう言った。

 午後は授与所で彩陽に指導された。

「お守りなどの授与の際は「ありがとうございます」ではなく「ようこそお参りくださいました」と渡して」
「わかりました」

「代金ではなく初穂料。参拝の方には「お納めください」と言うのよ。授受は必ず両手で」
「はい」

「お守りは一体、二体、と(たい)で数えて」
 こちらも覚えることがありすぎた。紫緒の頭は途中でパンクしてしまい、彩陽に白い目で見られた。



 初日は五時で解放してもらえた。
 今日教えてもらったことを早くノートに書かないと。
 よろよろと境内に出たところでスーツの男性と出くわし、紫緒は息をのんだ。

「お前、本当に巫女になったのかよ! 巫女姿ってそそるな」
 斗真だった。にやにやと浮かべた笑いはどことなく卑しく見えた。
 ここにいるのを誰から聞いたのか。いやそれより、どうして来たのか。
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