任侠☆バイオレンスラブ
「ただいま帰りましたー」
そう思っている時、聞き覚えのある声が響いてくる。
この声──まさか・・・!
「来たか。・・・新一!ちょっとこっちに来い!」
「へい、なんでしょう、組ちょ──あれ、白石さん?」
「い、伊瀬さん!?」
襖が開いたと思ったら、そこにはバイトが一緒の伊瀬さんが正座していた。
伊瀬さんも兵頭組の人だったの!?
そんな素振り、1ミリも見せてなかったじゃん!!
「うちで預かることになった白石 芽依さんだ。新一、お嬢さんの警護、頼むぞ」
「へい、分かりました。組長」
私が動揺しているなか、組長さんは伊瀬さんにさっき話していた件を手短に話した。
その短い言葉で全てを理解したのか、すぐに返事をする伊瀬さんは、ペコリと頭を下げた。
「新一、そのままお嬢さんにここの屋敷の案内をしてくれ。これから住むから、覚えておいて損は無いだろう」
視線を伊瀬さんに向けたまま案内をするように告げる組長さん。
それに対して、再び頭を下げる伊瀬さん。
「へい。・・・白石さん、行こ──」
「親父、俺が行く」
そう返事をしようとした時、部屋のすみに控えていた樹さんがすくっと立ち上がる。
そして、組長さんの顔を見ながら返事をしかけていた伊瀬さんの言葉を遮った。
「・・・そうか。じゃあ樹、頼む。新一、下がっていいよ」
「──へい」
その言葉を聞き、訂正をする組長さんの言葉で、伊瀬さんはその場を後にする。
「行くぞ」
「あ、はい!」
私の後ろを通りながら声をかける樹さん。
その言葉で立ち上がり、組長さんにお辞儀をしたあとに樹さんの後を追いかけた。