Nightmare of Light.
俺を置いてきぼりにするみたく、天道さんだけは理解を示しているようだった。
「兄貴って大変だよね。いつだって下の見本にならなきゃだから。…いい意味でも悪い意味でも」
見本……?
俺より必要とされて、俺より期待されて。
俺を出来損ないの失敗作だと言って、小さな頃からさっさと出ていけと言いつづけてきたこんな男が?
「ただこのお兄ちゃんの場合は───自らを犠牲にしてまで悪い意味の見本になったってわけだ」
「は……?だから分かんないって…、悪い意味の見本ってなんだよ…」
犠牲?
なにを犠牲にすることがある。
あんたの立場は俺から見れば最高だ。
生まれた順番たったひとつで、親からの期待値まで貰えるんだから。
「憂巳がどんな幼少期過ごしてたかなんて俺は興味もないけどさ。…たぶんここがね、おまえたちの正念場ってことくらいは分かる」
「………、」
俺と向き合っている兄。
背中ばかり向けていた男が、どんな気の迷いなのか俺と対等に立っていた。