Nightmare of Light.




「それで、月島は吐いたの?」


「…娘がいる。耳が聞こえない障害を持っていて───カナダでしか取り扱ってない特殊な補聴器を作るために金が必要」


「……!」


「ってね、正直に吐いたわけよ」



こりゃ困った困ったと、天道 陽太は本当に困っている顔で言う。


情を完全に捨てきれる人間など、いない。

そんな者がいたら、それはもはや人間ではない。


妻がいて娘がいて、ふたりを溺愛している男にとって到底困った内容だったのだろう、それだけは。

………あの嫁バカ子煩悩なカシラにとっても同じことだ。



「そんなの知ったこっちゃないよ。…って言うのが本来俺たちの立場では正しい判断なんだろうけど」


「……できなかったんだろ。あんたたちは」


「いいや、俺ってそんな優しくないのよ。憂巳には悪いけど天鬼をトップに置き続けることで守れるもののためなら、わりと手段なんか選ばないよ俺」



トップの組織というものは、小さなことのほうが大きな問題に発展しやすい。

それは一見すると誰も注意しないからだ。



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