Nightmare of Light.
ニッと笑ったゆーみは「覚えちゃった」と、無音の言葉で付け足した。
「なにそのエプロン。ねえ矢野、けっこー似合ってんじゃんか」
「…寝るときも着けようとしていたくらいですからね。さぞかし誰かさんからのプレゼントが気に入ったんでしょう」
「……ふ。そこまで?」
曲がっていた蝶々結びがスムーズに結び直される。
いつまでいるの?
また今日の夜には出ていっちゃう?
わたしも一緒に行ったらダメ……?
「ええっ、カシラ…!ぜったい具合悪くなるっスよ!!」
「…へーき。料理が下手な女には慣れてる」
「ああ…、そっスね」
聞こえないわたしは、よろこぶ。
ゆーみと一緒にご飯が食べられて、喜ぶ。
わたしが子供だと誤魔化すことができる14歳じゃなかったら、きっとあなたは拾ってくれなかったね。
なにも知らない、聞こえないわたしに、彼もまた似たような笑顔を貼りつけた───。