プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「いつもの莉都花なら、俺の表情を見ただけで本心はわかるだろ? でも、あのときの莉都花はシャッターを下ろしきってるようだった。莉都花のそばにいるって言っても、不安を煽るだけで終わりそうな気がしたんだ」

 振り返ってみれば、そうだったような気もする。自分が邪魔者だという思考でいっぱいだったから、柊仁の言葉を真っ直ぐには受け止められなかったかもしれない。何を言われても、不安は消えなかったと思う。

 そして、今もまだ消えてはいないその不安に、莉都花は瞳を揺らす。

「柊仁……」
「ごめんな、一人にして。一度離れたほうが、冷静になれるだろうと思って、連絡はしなかった。今日まで苦しい思いさせてごめん。でも、これが俺の気持ちだから」

 柊仁の視線が真っ直ぐこちらへ飛んでくる。愛し合っていた日々と何も変わらないように見えるその視線に、莉都花の心が躍りそうになる。彼を信じて飛び込みたくなる。

 でも、まだ胸の中にどうしても消えない不安が残っていて、莉都花はそれを小さな声で外へとこぼした。
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