プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「賭けは俺の勝ち。だから、願い事を聞くのは莉都花のほうだよ。わかったら、ここにサインして。それが俺の願いだから」

 ペンを握らされ、それを婚姻届の上まで持っていかれる。

 とてつもなく幸福な敗北に、莉都花は涙をぽとぽととこぼしながら、震える手で己の名を書いていく。自分の名を書いて、こんなにも心が満たされるのは初めてだ。

 莉都花が書くべき欄は名前以外にもいろいろとあったが、今は名前を書くのがやっとで、フルネームがその紙に記されたのと共に、莉都花は柊仁にきゅっと抱きついた。

「柊仁っ! 会いたかったっ」
「うん、俺も。早く会ったかったよ。早く莉都花との未来が欲しかった。絶対に離さないからな」
「うんっ」

 莉都花も柊仁もぎゅうぎゅうと強く互いを抱きしめる。決して離れることなどないよう、お互いを強く結びつける。お互いの鼓動が交わるほどに、強く強く抱きしめ合った。

 体はぴったりと密着させたまま、顔だけを離して見つめ合う。

 極上の甘い微笑みに、心と体が熱を帯びていく。

「莉都花、愛してる」
「私も、私も愛してる」

 どちらからともなくキスをする。随分と久しぶりに感じられるその感触に、莉都花の心は強く大きく震えた。何度も何度も見つめ合っては口づけ、飽きるまで愛の言葉を囁き合った。
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