プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 会場の外に出ても、柊仁は莉都花の腕を離さず、どこかに歩いていこうとする。

 てっきりすぐに離してくれると思っていたから、莉都花は慌てて柊仁に声をかけた。

「あの! 別に体調は悪くないので、もう……」

 言外に解放してくれという意味を込めて、そう呟いた。

 しかし、腕を離してくれる気配はない。それどころか柊仁は莉都花の腕を引いて、二人の距離を縮めてくる。

「ずっと泣きそうな顔してたのに?」
「えっ……!?」

 莉都花は慌てて空いているほうの手で顔を隠す。

 確かに先ほどのやりとりでは少し涙を浮かべそうになったが、それを除けばずっと笑顔を保っていたはずだ。顔が強ばりそうなくらい頑張っていた。

 しかし、それは莉都花の主観。自分の顔は自分では見えない。

 もしかしたら笑顔になっているつもりで、本当は全然笑えていなかったのだろうか。だから、大輝は心配して声をかけてきたのだろうか。

 気づかぬうちに大輝と美遥に嫌な思いをさせてしまったのではないかと不安になるが、その不安はすぐに目の前の男によって別の不安に塗り替えられた。
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