一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜
例え彼女に嫌われようと構わない。

健気に1人で歩き出すその後ろ姿に心打たれて、守りたいと強く思う。

彼女の事を思うと身分や立場も忘れ、1人の男として本能が動き出す。

1人にさせて辛い思いをさせたくない。何より、彼女から離れたく無いのが本心だ。

そんな強引な俺に、鈴蘭も負けずに下ろして欲しいと何度となく懇願してくる。

こんなにも身体は怯え震えているのに、気丈に振る舞おうとする、彼女のその強情さに触れ、俺は1人愛しさを積もらせていく。

ついには根負けして、彼女の思いを汲んで仕方が無いなとそっと下ろす。

しかしながら、1人で一座に戻ろうとする健気さに心が痛む。月光一座の座長の体罰の件は寧々から報告を受けてた。出来ればこのまま彼女を身請けしたいくらいだ。

しかしまだ、彼女の気持ちも聞いてはいない。事を急がせては上手く行く事も行かなくなってしまう。
慎重に取り掛からなければ、彼女は俺にとって唯一無二の存在なのだから…。

俺は心でそう思い焦る気持ちを制止、慎重に言葉を選び事を進める。

ひとまず、彼女を預かる事に半ば強引に漕ぎ着ける。

鈴蘭が自分と同じ馬車の中にいる。 

未だ手に入れた訳では無いが、その事実に信じられなくて、何度も何度も彼女を覗き見てしまう。

足首の怪我の具合も気になる。出来れば直ぐにでも手当てをしたいが…。

ずっと窓の外に目を向けている、月明かりに映える彼女の美しい横顔を見つめ、出来る事なら気持ちが読めればどれだけ良いかと思いを巡らした。
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