一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜
こんなにもよく寝れた事は、皇帝になってから始めてだろうと思うぐらい。清々しい朝を迎えた。

「陛下…おはようございます。
昨夜は何度起こしても、全く起きず狸寝入りかと思うくらい熟睡しておられましたが。
お顔色も良く、生気を感じられますので、ひとまず良かった事にしておきます。」

朝一番の李生の小言も、爽やかに聞き流せるくらい心が晴れ晴れしている。

「今朝はそなたの悪口も、聞き流せるくらい気持ちが良い。」
にこやかにそう言って退けると、

「悪口とは何ですか。あなたの為を思って、心を痛めながら言っているというのに…。
長椅子から寝台に運ぶのがどんだけ大変だったか。」
李生の愚痴はしばらく止まらず、はいはいと軽い気持ちで聞き流した。

「ところで、上皇后様より伝言ですが、今夜の上皇様のご祈祷ですが、皆参加だと言っておりました。」

「皆とはどこまでだ?」

「働く者の手を止める訳にはいかない。上皇の頃からの家臣のみで良いのではないか?」
俺が聞き返すと、

「今夜だけでも、宮殿にいる上官全てを集めよと。…後、側室3名に宮使いの者もです。」

「また…あの人も無茶な要求を…。側室を呼ぶ意味も分からない。」
はぁーと深いため息を吐く。

せっかく朝から清々しい気分であったのに、と天を仰ぐ。

あの人は必ず何か厄介事を持ち込む。ここぞとばかりに自分の力を見せつけ満足したいだけなのだ。振り回されるこっちの身にもなってみろ。

心の中で悪態をつく。

「仕方ない。祈祷に参加した者には臨時給金を渡すと伝えろ。」
金で釣るやり方は、こういう祭神について本来するべきではない事は分かっている。だが、心から上皇を思っている者は何人いるだろうか…。

主催者である上皇后だって然りだ。
上皇が病に伏してから、やたらと若い男を連れ込む事が増えた。

当の本人はきっと、普段後宮に寄り付かない俺が、そこまでちゃんと把握してるとは思って居ない筈だ。

この事実を最も効果的かつ、有効的なタイミングで突きつけたいと、条件が整うのを待っている。
もしかしたら、それが今夜かもしれない。と、李生にそれとなく伝えておく。

願わくば、上皇后の権力の衰退と表舞台からの撤退だ。

「御意に。」
と、ニヤリと含み笑顔を残して李生は去って行った。
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