一途な皇帝陛下の秘恋〜初心な踊り子を所望する〜

2人の再会

(香蘭side)

少しずつ寂しさが積もり出し、息苦しさまで覚え始める今日この頃…。

残りの10ヶ月は踊り子として全うしたいと自分自身で決めた事なのに。なぜ、こんなにも会いたくて会いたくて切ないのか…。

舞台終わりに夜空を見上げれば、自然と涙が溢れてきてしまう。

「姐様、どうされましたか?」
心配して寧々ちゃんがやって来る。

「ごめんなさい、直ぐに戻るわ。熱った身体に夜風が気持ちよくて…。」
そう強がりを言って控え室へと戻って行く。

「後、3日ですよ!都に戻るのも。待ち遠しいですか?」
寧々ちゃんが察してそう声をかけて来る。

「そうね。思っていた以上にこの1週間は長過ぎるわ…。」
つい、気持ちを露としてしまう。

「姐様がそう感じるのでしたら、きっとあの方はもっと寂しがってると思いますよ。」

「そうね…きっと待ってる身の方がずっと長いのかもしれない。」
フーッと小さくため息を逃す。

「後、3日の辛抱ですよ。それよりお腹が空きませんか?お饅頭を買って来たのでみんなで食べましょう。」
寧々ちゃんはいつも気を利かせて公演後に、甘いものを用意してくれる。

踊り疲れた身にはその甘さがとても嬉しい。

「残りのお饅頭を護衛の方にも渡して来るわね。」

この1カ月で既に恒例になっていた差し入れを、いつもと変わらず外で待機している護衛にと持って行く。

「お疲れ様です。あと少しで片付けが終わったら帰れますから。」
そう言って、屈強な男達に一つずつ手渡しして行く。

初めのうちは大きくて近寄りがたい護衛の人達だったけれど、1カ月近く一緒にいると、不思議とそれぞれの個性を知って慣れていった。

「ありがとうございます。」
嬉しそうに駆け寄ってくれるのは、1番年下の俊宇(ジュンユー)君。

遠慮しがちに受け取ってくれるのは、隊長の周(シュウ)さん。それぞれ4人の名前を覚え、束の間の時間に晴明様の話しを聞くのが楽しみになった。
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