【短編】眠り姫に口付けを。
「…で、君はいっつもここで何してるの?練習って前に言ってたけど」
草むらに寝そべったせいか、
無駄に草の匂いが僕の鼻に突き刺さる。
別に嫌なわけじゃないけど…
ちょっとこう、抵抗みたいなものがあるかもしれない。
「練習…なのかな?分からないけど、」
「じゃぁなんなの?」
寝そべったまま隣に目だけ向ける。
すると座った状態の彼女と目が合って、変な感じ。
「最初はそのつもりでここに来てたんだ、今度の劇で“眠り姫”っていうのをやるから…」
柔らかな風が彼女の髪を揺らして、
何だか魅惑的な雰囲気を漂わせているように感じるのは
僕だけかな…?