転生した悪役令嬢はあなたに似合うドレスを作りたい〜冷徹公爵様に溺愛されて服屋を開いたら王族御用達の大人気店になりました〜
そして、次の日にはレベッカを悪者にする噂は学園中に流れていた。
ひそひそと、聞くに耐えない陰口が後ろ髪を撫でる。
レベッカは唇を引き締め、気にしていないと、休み時間も一人で行動していた。
リリアとユリウスは医務室に連れて行った後仲良くなったのだろう、楽しげに話している。
『一度目』と同じ展開だ。
部屋に戻る方向を変えるぐらいでは、運命までは変えられなかったようだ。
放課後、夕陽が照らす教室に、俺は足を踏み入れた。
ほんの少しの期待だった。
悪評が囁かれたレベッカが、一人思い詰めた表情で椅子に座っていた。
俺はそっと近づき、その背に声をかける。
「誤解だと言えばいいんじゃないか、リリアの怪我の件」
そう声をかけると、真紅の瞳がゆっくりとこちらを向いた。
その瞳に、俺が映る。
「なぜ、クロード様がそれを?」
1回目と違い、実際に転んだところを見たわけではないのだが。
「リリアの様子を見れば、君が悪くないのはわかる」
そう言うと、レベッカはじっと俺の表情に裏がないかを探っていた。
「…噂は気にしませんわ。わたくしは、何も恥ずかしいことはしておりませんもの」
ため息と共にそう呟くと、赤い髪を耳にかける。
「俺は君の味方だ」
急にそんなことを言ってくる冷徹公爵に驚いたのだろう。
彼女は目を丸くして驚いたが、すぐに小さく吹き出した。
「ふふ、おかしな方ね」
優しく微笑んだレベッカの瞳が、俺を映してくれたのが嬉しかった。
久々に、自然と笑えた気がした。
繰り返すことに疲れた俺は、ただ、レベッカと話がしたかった。
夕陽が差す教室で、君と一緒にいたかった。
状況は一度目と何も変わっていない。
何か行動を起こせば、運命は変わったかもしれないのに。
リリアとどんどん関係を進めていくユリウスに、何かを言えば違う未来があるかもしれないのに。
ただ毎日、たった数分でも、レベッカと二人きりで話せるのがただただ、嬉しかった。
どうやっても逃れられない後悔から目を逸らすように、俺レベッカと過ごす放課後の教室を楽しめればよかった。
レベッカが城下町のケーキ屋が好きで、たまにモンブランを一人で買いに行くこと。
歳の近いメイドがいて、屋敷に帰ってその子と会えるのが楽しみなこと。
昼食後の歴史学は眠くなるから、こっそり教科書に絵を描いていること。
全部知っている。一度目の人生で聞いた、君の話。
手を伸ばせば届く距離のその赤い髪を撫でたいと思う。柔らかいその髪は、どんな香りがするのだろうか。
叶うことのない未来を夢見て、俺は彼女の夕日に染まる横顔を眺める。
* * *
「レベッカ・エイブラム。お前を皇太子妃への不敬罪とし、追放令に処す!」
舞踏会の広間の中央、黒いタキシードを着たユリウスが、傍でリリアの腰を抱きながら、声高々に叫んだ。
人々の視線は、レベッカに注がれる。
髪の色と同じ真紅のドレスをまとった君は、そんなにも美しいのに。
俺はユリウスの暴挙を止めるため、その場で声を上げた。
「待て、ユリウス。彼女は悪くなどーー」
「良いのです、クロード様」
しかし、俺の異議を止めたのは、レベッカ本人だった。
「…お受けいたします、ユリウス皇太子殿下」
そうして優雅に、彼女はドレスの裾を掴み礼をした。
ひそひそと、聞くに耐えない陰口が後ろ髪を撫でる。
レベッカは唇を引き締め、気にしていないと、休み時間も一人で行動していた。
リリアとユリウスは医務室に連れて行った後仲良くなったのだろう、楽しげに話している。
『一度目』と同じ展開だ。
部屋に戻る方向を変えるぐらいでは、運命までは変えられなかったようだ。
放課後、夕陽が照らす教室に、俺は足を踏み入れた。
ほんの少しの期待だった。
悪評が囁かれたレベッカが、一人思い詰めた表情で椅子に座っていた。
俺はそっと近づき、その背に声をかける。
「誤解だと言えばいいんじゃないか、リリアの怪我の件」
そう声をかけると、真紅の瞳がゆっくりとこちらを向いた。
その瞳に、俺が映る。
「なぜ、クロード様がそれを?」
1回目と違い、実際に転んだところを見たわけではないのだが。
「リリアの様子を見れば、君が悪くないのはわかる」
そう言うと、レベッカはじっと俺の表情に裏がないかを探っていた。
「…噂は気にしませんわ。わたくしは、何も恥ずかしいことはしておりませんもの」
ため息と共にそう呟くと、赤い髪を耳にかける。
「俺は君の味方だ」
急にそんなことを言ってくる冷徹公爵に驚いたのだろう。
彼女は目を丸くして驚いたが、すぐに小さく吹き出した。
「ふふ、おかしな方ね」
優しく微笑んだレベッカの瞳が、俺を映してくれたのが嬉しかった。
久々に、自然と笑えた気がした。
繰り返すことに疲れた俺は、ただ、レベッカと話がしたかった。
夕陽が差す教室で、君と一緒にいたかった。
状況は一度目と何も変わっていない。
何か行動を起こせば、運命は変わったかもしれないのに。
リリアとどんどん関係を進めていくユリウスに、何かを言えば違う未来があるかもしれないのに。
ただ毎日、たった数分でも、レベッカと二人きりで話せるのがただただ、嬉しかった。
どうやっても逃れられない後悔から目を逸らすように、俺レベッカと過ごす放課後の教室を楽しめればよかった。
レベッカが城下町のケーキ屋が好きで、たまにモンブランを一人で買いに行くこと。
歳の近いメイドがいて、屋敷に帰ってその子と会えるのが楽しみなこと。
昼食後の歴史学は眠くなるから、こっそり教科書に絵を描いていること。
全部知っている。一度目の人生で聞いた、君の話。
手を伸ばせば届く距離のその赤い髪を撫でたいと思う。柔らかいその髪は、どんな香りがするのだろうか。
叶うことのない未来を夢見て、俺は彼女の夕日に染まる横顔を眺める。
* * *
「レベッカ・エイブラム。お前を皇太子妃への不敬罪とし、追放令に処す!」
舞踏会の広間の中央、黒いタキシードを着たユリウスが、傍でリリアの腰を抱きながら、声高々に叫んだ。
人々の視線は、レベッカに注がれる。
髪の色と同じ真紅のドレスをまとった君は、そんなにも美しいのに。
俺はユリウスの暴挙を止めるため、その場で声を上げた。
「待て、ユリウス。彼女は悪くなどーー」
「良いのです、クロード様」
しかし、俺の異議を止めたのは、レベッカ本人だった。
「…お受けいたします、ユリウス皇太子殿下」
そうして優雅に、彼女はドレスの裾を掴み礼をした。