これを運命というのなら
オフィスに戻ると――定位置のソファーに猫みたいに丸まって寝ている、綾乃。
自分のデスクで仕事をしている畑中が待っていてくれた。
「おかえり。藤崎……さっき寝た」
そうか、と答えて綾乃の髪を撫でながら。
畑中に伝えた俺に、藤崎を悲しませるなよ。
パソコンを閉じて、そう言って気を使って帰ろうとする畑中に。
俺がいない間の綾乃を守ってくれへんか?
ずっと俺の傍らで同期で支えてくれて、信頼している畑中だからこそ頼めること。
「当たり前や。お前が惚れた女を、お前が不在の間に守るのも俺の役目やろ」
振り返って、任せろ。
頼んだで、畑中。
今日もこうして一緒に居てくれて、待ちくたびれたのかはわからないが……寝てしまった綾乃にブランケットを掛けてくれたのも畑中で。
不安そうにしていた綾乃を宥めてくれたのも畑中で。
ほんまに感謝してる。
口に出さへんくても、わかるやろ。
お前なら。
背中を向けて、ヒラヒラと手を振って。
畑中が帰った後―――綾乃……ただいま。
起きれるか?帰るで。
髪を撫でながら、綾乃の頬も撫でると。
ゆっくり重ねられた手。
小さく……おかえり、なさい。
自分のデスクで仕事をしている畑中が待っていてくれた。
「おかえり。藤崎……さっき寝た」
そうか、と答えて綾乃の髪を撫でながら。
畑中に伝えた俺に、藤崎を悲しませるなよ。
パソコンを閉じて、そう言って気を使って帰ろうとする畑中に。
俺がいない間の綾乃を守ってくれへんか?
ずっと俺の傍らで同期で支えてくれて、信頼している畑中だからこそ頼めること。
「当たり前や。お前が惚れた女を、お前が不在の間に守るのも俺の役目やろ」
振り返って、任せろ。
頼んだで、畑中。
今日もこうして一緒に居てくれて、待ちくたびれたのかはわからないが……寝てしまった綾乃にブランケットを掛けてくれたのも畑中で。
不安そうにしていた綾乃を宥めてくれたのも畑中で。
ほんまに感謝してる。
口に出さへんくても、わかるやろ。
お前なら。
背中を向けて、ヒラヒラと手を振って。
畑中が帰った後―――綾乃……ただいま。
起きれるか?帰るで。
髪を撫でながら、綾乃の頬も撫でると。
ゆっくり重ねられた手。
小さく……おかえり、なさい。


