夜咲く花は愛を語る彼を照らす
 彼を見ると、彼も私を見ていた。

 目があってしまい、さらに落ち着かない。

「あの……さ」
「はい」

 私はつい、かしこまった返事をしてしまった。

 なにかを話そうとした彼は、だけど続きをなにも言わない。

 どーん! どーん! ぱらぱらぱら……。

 花火の音が二人の隙間を埋めていく。

 見つめ合う彼は、花火が上がるたびに光に照らされる。

「さっきの……あれ、本当のことにしたいんだけど」
「え?」

 私は思わず聞き返す。さっきのあれって、つまり……。

「俺と、つきあって」
「……いいの?」
 私はまた、聞き返してしまった。

「君がいいんだ。一緒にいると楽しくて。もう恋人なんて作らないって思ってたんだけどさ。気がついたら好きになってた」

 どーん!

 ひときわ大きく、花火の音が響いた。

 ぱらぱらぱら。

 私の心の衝撃と同じ大きさと余韻が響く。

「わ、私も、好きです」
「良かった」
 言いながら、彼は私の肩を抱き寄せる。

 顔が近づいて、私はどうしたらいいのかわからなくなった。鼓動が早くなり、血が昇っていくのだけがわかる。

 先ほどとは違う理由で、もう花火どころではなくなってしまった。

 どーん、どーん、どーん!

 大きな音と光が満ちる。花火はフィナーレに向かって大輪の花を咲かせ続けていた。




 終


< 6 / 6 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:4

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない

総文字数/77,331

恋愛(その他)121ページ

マカロン文庫新人コンテストエントリー中
表紙を見る 表紙を閉じる
星森耀理(ほしもり ひかり) 平凡な書店員。 彼氏と元親友に裏切られて傷心中。  ×  月嶺史弥(つきみね ふみや) 大人気作家。 三年前から耀理を愛し、彼女のために作品を書き続けている。 彼氏にふられた耀理(ひかり)は傷心のままサイン会に行く。 推し作家にプロポーズされた耀理は作品の再現シーンだと気付いて心躍らせる。 ヒロインの言葉で承諾のセリフを返したところ、作家は「婚姻が成立だ」と叫んで仮面をはがす。 現れたのは、三年前に耀理に暴言を吐いた男だった。 激重の彼の愛を拒否する耀理。 元彼や元親友の襲撃から守ってくれた彼に次第に引かれていくのだが……。 お詫び P107が前ページとダブっているのですが、コンテスト期間中のために修正できません。 後日、修正いたします。
表紙を見る 表紙を閉じる
柚花は宝石店『パリュール』の副店長をしている。 恋人を取られ、店長が入院して公私ともに大変。 そんなとき憧れだった人が「店長代理」としてやってきて……。 9月30日完結。 お読みいただき、ありがとうございます! 24/10/7 中短編部門で1位を獲得しました! 初の1位に感無量です! みなさま本当にありがとうございます!!! 25/1/30 めちゃコミック×LScomic×魔法のiらんど漫画原作コンテスト 「エリート上司との偽装恋人」部門にて 佳作を受賞いたしました! ありがとうございます!
表紙を見る 表紙を閉じる
第2回ベリーズ文庫デビュー応援コンテストにて .。゚+..。゚+. 大賞 .。゚+..。゚+ を頂きました。 みなさまありがとうございます。 ☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。 24/11/10にアンソロジー発売! 『悪い男の極上愛』に 『世界最悪の外交官に偽装告白したら 溺愛が待っていました』 とタイトルを変更して収録。 書籍では大幅に加筆修正して、 ヒーローはもっとかっこよく、 溺愛シーンも増やしています! ☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。 朱鳥(あすか)は売れないウェブライターだ。 迷子を保護しようとしたとき、悪徳外交官と知り合う。 幼女誘拐で世界に悪名を馳せて 世界中から敵視されている外交官だ。 外交官特権で逃げたので話題になった。 契約更新の特ダネのために彼に近付くのだが、 彼の甘い態度に朱鳥はよろめく。 彼は本当に誘拐をしたのだろうか。 真実はどこにあるのだろうか。 そんなとき、元カレが怪しい動きをして……。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop