狂気のサクラ
車に乗り駐車場を出ると涙が溢れてきた。他に女がいたなど想定内のはずだ。その証拠を掴んでやりたかったのに。それでもこうして確信してしまうと本当に裏切られたのだと思い知る。しかもその相手が今井だなんで最高の裏切りだ。
彼に会えなくなったあの夏よりも心はずっと傷付いた。あの夏よりも彼との絆は深いと思っていた。もしもこの傷が見えたとしても、どんな名医でも縫合できないほどに切り刻まれているだろう。
私は近藤に電話をかけた。電源が切られている。仕事中なのだろう。何の職業かまだ聞けていないが、特殊な仕事をしているだろうことは理解している。
本当はさゆりが1番に浮かんだ。でもさゆりの忠告を鬱陶しいとさえ思っていた私が今更どんな顔でさゆりと会えるのだ。今この事態はさゆりが心配していたそのものだ。
涙で電話がぼやけているがよく見ると不在の着信が残っている。さゆりだ。1時間前だ。
涙が余計に止まらない。
家に着いてからさゆりに電話をかけ直した。
「もしもし?」
元気なさゆりの声。言葉が出ない。
「凛?」
「もしもし」
泣き声になってしまって声がうまく出ない。
「凛?どうしたの?」
何も答えることができず嗚咽だけが漏れる。
「また悠樹でしょ?今どこにいるの?」
「い、え」
「これから行くから待ってて」
ぷつりと電話は切れた。
彼に会えなくなったあの夏よりも心はずっと傷付いた。あの夏よりも彼との絆は深いと思っていた。もしもこの傷が見えたとしても、どんな名医でも縫合できないほどに切り刻まれているだろう。
私は近藤に電話をかけた。電源が切られている。仕事中なのだろう。何の職業かまだ聞けていないが、特殊な仕事をしているだろうことは理解している。
本当はさゆりが1番に浮かんだ。でもさゆりの忠告を鬱陶しいとさえ思っていた私が今更どんな顔でさゆりと会えるのだ。今この事態はさゆりが心配していたそのものだ。
涙で電話がぼやけているがよく見ると不在の着信が残っている。さゆりだ。1時間前だ。
涙が余計に止まらない。
家に着いてからさゆりに電話をかけ直した。
「もしもし?」
元気なさゆりの声。言葉が出ない。
「凛?」
「もしもし」
泣き声になってしまって声がうまく出ない。
「凛?どうしたの?」
何も答えることができず嗚咽だけが漏れる。
「また悠樹でしょ?今どこにいるの?」
「い、え」
「これから行くから待ってて」
ぷつりと電話は切れた。