今日は我慢しない。
「おま、誠太!なに急に休んでんだよ!転校するとか噂出てたぞ!」

「あはは、インフルのあとノロに襲われちゃって」

「こんな暑い季節に?」

「はははは」


 男子たちに絡まれてテキトーにごまかす佐柳を目にしたら、なんだか少し癒された。

 転校せずに済んだの、本当によかったな。

 私は佐柳に背を向け、元向かっていた昇降口に足を運んだ。


「三条」

「!」


 佐柳に声をかけられた。

 振り返ると、みんなに囲まれてる佐柳と目が合う。

 それだけで胸がきゅう、と苦しくなった。

 だけどみんなが見てる前、動揺を悟られないように必死で冷静を装う。


「ん、なに?」

「今日、一緒に帰ろう」



 ……。



「「「「えっ?」」」」


 その場にいた佐柳以外全員の拍子抜けした声が重なる。

 すると佐柳が何でもない感じで、改めて言う。
 

「一緒に帰ろ」

「えっと……あ、生徒会みんなで帰る?」

「いや、二人で」


 周囲がざわつき始めた。

 ちょ、ちょっと待った。

 確かに私たち思いが通じ合ったなって思ってたけど。

 こんなみんなの前で堂々と誘われるのは想定外だ。

 それにいま抱えてるモヤモヤが片付いてない手前正直気まずい中、どうしたらいいかわからない。

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